2025年4月16日、OpenAIは新しい推論モデル 「o3(オースリー)」 を発表しました。
GPT‑4系の「o」シリーズの中でも最も高度な推論力とツール連携力を備え、画像を含む複雑なタスクまで一気通貫でこなせるのが特長です。
本記事では 約5分 で読めるボリューム(3,000字程度)で、難しい数式や専門用語を避けつつ、o3のエッセンスをかみ砕いて解説します。
まずoシリーズとは?
OpenAIは2024年以降、モデルを大きく二系統に整理しました。
系統 | 目的 | 代表モデル |
---|---|---|
GPT‑4 ファミリー | 汎用的な知識+創造力 | GPT‑4o, GPT‑4.1 |
oシリーズ | 深い推論・長考に特化 | o1 → o3(最新) |
従来のGPT‑4oよりも「考える時間をあげる=Reasoning Effort」を増やすことで、数学やプログラム、ビジネス分析など 正確さが求められるタスク で頭角を現します。OpenAI
この、AIに考える時間を与えるというアプローチによって、例えばビジネスの戦略を立てさせたり、何かについて詳しく調査させたりといった場面で従来の4oよりもより正確で精密な結果を得ることができます。
o3で「ここが進化した」6つのポイント
1. 画像と一緒に考える
単に画像を「見る」のではなく、ズーム・回転・トリミングなどを自分で行いながら推論します。ホワイトボードの写真を渡すと、数式を読み取り解答まで導けるほど。OpenAI
この機能が、SNS上でかなり話題となっていました。この画像の内容を把握する能力はかなり汎用性があり、人間がこれまで行なっていた様々なタスクをAIに任せることができるようになる可能性があります。
2. ツールを自動で呼び出す
o3は ChatGPT内部のWeb検索・Python実行・画像生成などすべてのツールにアクセス可能。必要かどうかをモデル自身が判断し、結果を統合して返してくれます。OpenAI
最近の生成AIではこの様々な機能にAIがアクセスし、操作するという機能がより注目されています。現時点では検索やコード生成、画像生成くらいのツールのみにしかアクセスできませんが、OpenAIも言及している通り、これからはここにExcelやWord,Photoshop,Blenderなど様々な業務で使用されるツールにアクセスできるようになるでしょう。
3. コード・数理に強い
ベンチマーク「Codeforces」や「SWE‑bench」で新記録を更新。アルゴリズムの設計やバグ修正の相談相手として、従来より20%少ない重大ミスで回答します。OpenAI
人間でも、考える時間を与えれば一定はミスを減らすことができます。その点で言えば、AI本来の能力を発揮しやすくなっていると言えます。
4. 長考モードで精度が伸びる
o1と同じ料金・応答速度でも、考えるステップ数が多い ため一段上の精度。さらに「高推論モード」を選ぶと、少し待つ代わりに正答率がさらに向上します。OpenAI
さらに時間をかけることでさらに綿密に考えさせることも可能になっています。
5. Plusプランで追加料金なし
ChatGPT Plus(月額20ドル)・Pro・Teamのユーザーは追加課金なしで利用可能。これまで o1 を選んでいた枠でそのまま切り替えられます。The Verge
流石に無料枠では使用できないようですが、Plusプランの月額3000円程度でこの機能が使用可能になります。
6. 安全性の強化
OpenAIはRLHFの再スケーリングとツール利用ログの監視で、虚偽情報やプライバシー流出を抑える対策を実装。とはいえ画像から位置特定ができてしまうなど、新しいリスク も指摘されています。Tom’s Hardware
はじめ方:モデル切り替え3ステップ

- ChatGPTを開く
左下のモデル名(例: GPT‑4o)をクリック。 - o3を選択
All Models 一覧に「o3」「o3‑mini」などが表示されるので選びます。- 高速&軽量 … o3‑mini
- 最高性能 … o3 (default)
- 画像入力やツールをON
スレッド上部の「+」ボタンで画像をアップロード。右側のアイコンで「Web Browsing」「Python」「Image Generation」を有効にすると、o3が自律的に使ってくれます。
活用アイデア5選
シーン | 具体例 |
---|---|
プログラミング | エラーログとスクリーンショットを貼り付け、修正パッチを生成 |
学習・研究 | 手書きノートの写真 → 数式をLaTeX化し、証明をステップ分解 |
ビジネス分析 | 決算書PDF+競合サイトのスクリーンショット → SWOTとグラフを自動作成 |
旅行計画 | 行きたい都市の写真を渡し、季節ごとの費用と観光モデルコースを提案 |
クリエイティブ | ラフスケッチ → 配色案・完成イメージ画像・HTML/CSSコードまで生成 |
もはや平均的な人間を超える能力と、様々な情報にアクセス可能であることで、上にあげた5つ以外にもかなりの場面で活用が可能になるでしょう。
注意点とよくある質問
Q1. GPT‑4とどちらが賢い?
- 文章生成や雑談 → GPT‑4oが依然得意
- 厳密な計算・論理 → o3 が優位
Q2. APIで使える?
執筆時点(2025年4月22日)では API提供は未定。まずはChatGPT UIでの先行提供となっています。OpenAI
Q3. ベンチマーク疑惑は?
独立機関Epochのテストで「公式発表より低スコア」との報告もありますが、OpenAIは「ツール込みで評価すべき」と反論。実務での体感 を優先しましょう。TechCrunch
Q4. 画像から場所がバレるって本当?
場所当て精度が向上したことで SNSでは“AI GeoGuessr”が流行。しかし精度は100%ではなく、プライバシー問題も議論中。個人宅やナンバーが写った画像は送らないのが鉄則です。Tom’s Hardware
今後の展望
OpenAIは「o3‑pro」やさらに大規模な「o4」シリーズを段階的に公開予定と示唆しています。
将来的にはマルチエージェント協調や長時間タスクの自動実行が視野に入り、SaaS運用や研究開発の自動化が加速すると予想されます。
また、Microsoft CopilotやAdobe Fireflyなど他社製品にもo3系モデルが組み込まれる可能性が高く、日常アプリの裏側で“見えないAIアシスタント”として働くシーンが増えるでしょう。
今のうちに 「画像+ツール呼び出し」を活用する思考法 に慣れておくことが、この生成AIの急速な進化に遅れずついて行くポイントになるでしょう。
まとめ
- o3は「深い推論+自律ツール活用」で次世代のChatGPT体験を提供
- 画像を含むマルチモーダル入力と、Python・Web検索を自動で組み合わせて答えを導く
- Plusユーザーなら追加料金なし、切り替えは3クリック
- 精度と引き換えにプライバシー・重い計算コストのリスクも理解して活用する
さあ、あなたもo3で“ひとつ上”のAI体験を始めましょう!